PTL(プロジェクト・チーム・ラーニング)にて

Posted by on 5月 25, 2016 in 授業

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私が現在所属している九州大学大学院の「ユーザー感性学専攻」では、PTL(プロジェクト・チーム・ラーニング)という演習の枠組みがあります。この演習は、「実社会の問題の解決にチームで取り組み、知識を知恵に変換し、生の喜びと社会の満足を協力して創造してくことのできる人材の育成を図る」(ユーザー感性学専攻のHPより)ことを目的としたものです。具体的に言うと、各先生方が普段関わっているプロジェクトに、学生さんも参画し、実践的に問題解決のための創造を行うというものです。ユーザー感性学の先生方は、多種多様の専門を持っていらっします。生理人類学や医学、植物系統学、工学、パブリックデザイン、ブランドデザイン、情報デザインなどなどの先生方が、企業や具体的な施設、地域などと関わって共同研究を立ち上げたり、調査研究を受託したりしています。私もPTL、受講者になりたいぐらいです。

私も前期と後期の通年で、前回のブログでも記述した伊万里のプロジェクトを、学生さんと一緒に取り組んでいます。最初、履修を希望してくれたのは2名でしたが、昨年の後期に「地域デザイン論」を受講してくれた修士2年や、農学部系の学生さんなど、計7名が参加してくれています。

写真は第3回目の授業の様子。宿題で丁寧に文献を読んできてもらったのを元に、伊万里の地域資源となるものを拾い出しています。みんな真剣。

そういえば、学生さんから第2回の授業で、「なぜ伊万里をフィールドに選んだのですか?」と質問されました。私にとってフィールドは、これまであまりこちらから選ぶものではありませんでした。きっかけは、紹介が多い。誰かが、その土地と私を結びつけてくれて、そこからプロジェクトが始まります。もちろん、自分発信で研究してみたいテーマや地域もあり、それは科研費などの国の助成金の枠組みを申請したりしますが、それもまた、きっかけがすでにあって、自分なりに研究を深めてみたいと思うものが多い。伊万里も同じで、藤田先生と三島先生の紹介があって、関わるきっかけを得ました。始まりはこんな(受け身)ですが、伊万里でやりたいことが見つかり、PTLでみんなで取り組んでいくことにしました。

それは、「知名度の高い特定の資源のイメージ」ではなく、もっと具体的に伊万里という地域の歴史や文化、人の思いを、私たちなりに見つけ出して、それを共有するために編集してみたいということです。「知名度の高い特定の資源のイメージ」とは、岐阜県白川村でいうところの「合掌造り」、佐賀県伊万里市では「伊万里焼(陶磁器)」のイメージ。観光地としては、こう言った目立つ観光資源がある、その知名度が高いということは必要なことだと思います。でも、それだけでは決してない。私たちよそ者が関わる意義は、新鮮な目で伊万里の面白さを再発見することにあると思います。そうでないと面白くない。

話は変わって、今美瑛でフェノロジーカレンダーを作成するためにみんなで行ったヒアリング記録を読み直していますが、地元の人が語る話はやっぱりとってもエキサイティング。きっとお話してくださっている方は、当たり前のこと、日常のことを話しているという感覚かもしれませんが、そこには自分と違う仕事・暮らし・習慣がたくさんあって、ちょっとしたエピソードが凄い。私自身が代弁者となって、自慢したいぐらいです。この読み直しを経て、フェノロジーカレンダーの細かな内容の調整やデザインに活かしてくことになります。乞うご期待!

PTLの第4回は5月31日。カレンダーのたたき台をひとまず完成させ、実際に伊万里に暮らす方々、働く方々に聞いてみたい内容を具体的に考えていきます。