平戸にうかがってきました

Posted by on 3月 27, 2016 in 出張

11月の五島(福江島、奈留島)に引き続き、今回は長崎県平戸市の春日(かすが)、生月島(いきつきしま)、根獅子(ねしこ)にうかがってきました。北海道大学観光学高等研究センターの真板昭夫先生に同行させていただき、「平戸島の文化的景観」の重要文化的景観への選定や世界遺産登録、地域づくりに取り組んでおられる平戸市文化観光部の植野さんのご案内という非常に贅沢なものでした。

福岡(空港)から平戸市中心部までは2時間強。そこから更に30分ほどの春日集落へ。

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ちょうど、太陽が山の向こう(その先は海なのですが)に沈む時間帯にうかがうことができ、この絶景。

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石積大好き人間にはたまらないこの狂いない棚田の法面。ちょうど水が張られていて、本当に清々しい。
ちなみに、

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このこんもりとしたのは、丸尾山。キリシタンの墓地が発掘され、その時代には十字架が立てられていたのではないかということ。地元の方からは「丸尾さま」と呼ばれている場所です。この丸尾山からは海を望むことができ、信仰の空間として、春日集落の中で象徴的な場所となっているようです。

春日集落は、まさに幕府の禁教政策から隠れながら、キリスト教を信仰していた集落。教会のような施設はなく、一見、日本全国にある棚田の景勝地のように見えます。でも、後で訪れた生月島の「島の館」の方から熱く説明していただいたのは、この棚田は、ここに暮らし、信仰心を密やかに貫き続けるための基盤だったということ。

こういうことは、どう来訪者に伝えていくのが良いのでしょうか? こういう歴史的な事実が存在していたという事を「知る」のは簡単ですが、明確な信仰心を持たず、隠れて活動しなければならない環境にもいない私を含む人たちに、少しでも「感じて」もらうためには。美しい景色に感動するということだけでもいいかもしれませんし、隠れキリシタンの文化に感動せよ!ということを押し付けるわけでもなく、でも、そこに暮らした(ている)人と自分とがつながれれば(ほんのちょっとでいいから!)。美瑛町でも、同じことを考えている気がします(笑)

翌日は、根獅子集落へ。独自の地域づくり活動が行なわれているということでお邪魔しました。海を望める高台の集会施設で、今日はお祭りがあるとのこと。

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集会施設の隣に、ねしこ交流庵という建物があるのですが、根獅子に惚れ込んだ複数の大学の先生が自腹で建てた建物とのこと(驚愕!)。私たちもちょっとだけお邪魔したのですが、続々集まる子供達も興味深々で建物の中を探検してました。

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惚れ込む理由がわかる眺望。写真がへたくそですが、今すぐ縁側で仲間とビールが飲みたくなる、気持ちよさ。

午前中伺ったのですが、あれよあれよという間に老若男女が集い、祭りの準備。みんな自然体で楽しそうなのが印象的でした。かねてから、そこに暮らしている人がプチ自慢をしてくれるコトやモノに、最も感動を覚えてきた私ですが、ここでも自慢の品々のオンパレード。こんなお酒を実は作ってて…とか、この猟師さんのイノシシの肉は絶品…とか、桜餅食べてみる?…とか。中でも印象的だったのは、「根獅子觸民約書」。まだ全文に目を通せていないのですが、昭和4年に根獅子集落の取り決めを独自にまとめたものです。根獅子集落の地域づくりは、いまいま始ったものではなく、約書のように脈々と受け継がれてきたものなのかもしれません。