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美瑛町は、北海道の中心部に位置する人口1万人強の農業を基幹産業とした自治体です。波状丘陵の独特な地形に畑が広がる景観が有名で、年間約140万人の観光客が訪れています。この景観は、かつてタバコや車のCMのイメージとして利用され、また写真家の被写体となることで、日本全国に知れ渡るようになりました。美瑛町は、「美しい村」としての地域資源のPRや、農産物のブランド化などに積極的に取り組むとともに、景観形成や交流空間の整備など、主体的なまちづくりに挑戦しています。そういった活動を支援するための下記の研究を行っています。

・美しい景観の形成に関する調査研究

美瑛町では、その美しい景観の知名度の向上や来訪者の増加に伴い、移住者等による住宅・別荘・店舗などの新規開発が増加しています。それらの開発を景観と調和した質の高いものとするための「美瑛町景観計画」の策定支援を行いました。美瑛町の地形の成り立ちや土地利用などから景観特性を明らかにし、景観法の枠組みを踏まえた区域設定や景観形成基準づくりを、町行政および農家や写真家・映像作家、農協職員や観光協会員などの多様な主体によって構成された景観審議会で議論しながら行いました。加えて、波状丘陵という複雑な地形におけるきめ細かな景観形成を実現するために、地理情報の一元管理(GIS)と活用、景観形成基準の明示にとどまらない参照事例の提供など、美瑛町独自の計画運用の仕組みの構築にも取り組んでいます。これらの調査研究および計画策定支援により、2015年7月から新たな「美瑛の美しい景観を守り育てる条例」が施行されています。

・観光まちづくりに関する調査研究

観光客による農地への立ち入り問題などに顕著に表れている農業と観光の矛盾関係を解決し、美瑛町の産業や暮らしに寄与する観光のあり方をデザインすべく、「美瑛町観光まちづくりマスタープラン」の策定に向けた調査研究に北海道大学観光学高等研究センターと共同で取り組んでいます。特に、美瑛町の自然や風景、農作物や食、歴史文化、産業や人の活動にかんする地域資源を広く抽出する「地域資源調査」を担当しています。