福岡市は古くから海との関係が深い都市であり、白砂青松の海岸は美しい風景として愛でられてきました。一方で、現代までに本来の海辺の環境が埋め立て等により多く失われてきた事実もあります。人々が海や海岸を楽しんで利用してきた一つの行為である海水浴に着目し、近代における海水浴の発展とそれに関連した海浜リゾートの成立について明らかにする研究を、福岡市とその近郊を対象として行っています。

これまでの研究から、津屋崎・福間・奈多・西戸崎・箱崎・伊崎浦・百道は海水浴場にとどまらない海浜リゾートとして成立していたことがわかりました。特に箱崎と津屋崎は、多様なアクティビティが可能な初期の海浜リゾートであり、箱崎は福岡の都市の発展に寄与した海浜リゾートとして、津屋崎は産炭地域と深く結びついた娯楽と療養の両側面を持つ海浜リゾートとして成立していたという特色が明らかとなっています。詳しい内容は、「福岡市とその近郊における近代海浜リゾートの成立に関する研究」(都市計画論文集   50(3) pp.1196-1203   2015年10月)をご覧ください。